数回に分けて、「ベビー・プレート」を例にとってKIJI製品の製作工程を紹介するこのシリーズ。第二回目となる今回は、「仕上げ挽き」と呼ばれる工程を紹介します。いわゆる「ろくろで挽く」作業はこれにあたります。
まずは高台(こうだい)と呼ばれる底の部分から口縁(こうえん)にかけて、外側を整形していきます。
ポイントは刃物です。前回の粗挽きで使うものもそうですが、木地師は木を挽くための鉋(かんな)を始めとする刃物を自分で作るという伝統があります。鋼の焼入れから整形・研ぎに至るまで、全て木地師自身の手によるものなのです。
次にろくろに固定する向きを変えて、器の内側を整形していきます。形状によって、それに合わせた専用の刃物を作ることもあります。
全体を整形できたら、KIJIの特徴的な意匠のひとつでもある切高台(きりこうだい)の切り欠きを整えます。これは元々、萩焼などの陶器に見られる意匠ですが、KIJIではデザイン性だけでなく機能面も鑑みて採用しています。このあたりは、ろくろを外してからの緻密な手作業です。
最後に、全体を丁寧に砥いで表面を整えたら完了です。やはり少し落ち着かせてから漆による下塗り〜最終仕上げの工程に進みます。
次回、03では拭き漆仕上げの「下塗り」から「磨ぎ」までを紹介します。